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さんごくし

三国志(七)

吉川 英治

吉川英治『三国志(七)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三国志、三国志。

N1 · 挑战 · 新字新假名 · 371,916 字 · 744 页

青空文庫

「さすがは、張飛の子よ」

と、諸人は万雷の如き喝采を送った。――と、関興もまた次に、弓をとって前に進み、

「張苞の弓勢ごときは、何も奇とするには足りない。広言に似たれど、わが箭のゆく先を見よかし」といいながら、身を半月の如くそらし、引きしぼった箭を宙天に向けた。

折々、雁の声が、雲をかすめていた。しばらく息をこめて、空をにらんでいるうちに、一列の雁行が真上にかかるや、関興は、弦音たかく一矢を放った。

一羽の雁は、矢うなりと共に、その矢を負って、ひらーと地に落ちてきた。余りの見事さに、文武の諸官声をそろえて、

「射たりや、射たり」

と賞めたたえ、嘆賞のどよめきがしばし絶えなかった。

張苞は、躍起となって、

「やい関興。弓ばかりでは戦陣の役に立たんぞ。汝は、矛をあつかう術を知っているか」

と、呶鳴った。

関興も負けてはいず、すぐ馬に跳び乗って、

「たくさんは知らぬが、まずこのくらい」

と、剣を払って、張苞の頭上に擬した。

「なにを、猪口才」

と、張苞もまた、父の遺愛たる丈八の矛を持って、あわや一戦に及ぼうとした。

「ひかえろ! 子どもら」

玄徳は上から叱って、

「そちたちは、父の喪もまだ明けたばかりなのに、何で味方同士の喧嘩をするか。