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さんごくし

三国志(七)

吉川 英治

吉川英治『三国志(七)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三国志、三国志。

N1 · 挑战 · 新字新假名 · 371,916 字 · 744 页

青空文庫

明らかに、彼の心には、魏の中央から身を避けたいものがあるのでしょう。当然、魏の重臣どもは、司馬懿の行動を気味悪く思って、狐疑していることも確かです。そこで、司馬懿仲達に謀反の兆しありと、世上へ流布させ、かつ偽りの廻文を諸国へ放てば、魏の中央は、たちまちこれに惑い、司馬懿を殺すか、職を褫奪して辺境へ追うかするに相違ありません」

彼の説くところはよく孔明の思慮とも一致した。孔明は彼の献言を容れて、ひそかにその策を行った。いわゆる対敵国内流言策である。旅行者を用い、隠密を用い、或いは縁故の家から家へ、女子から女子へなど、それにはあらゆる細胞が利用される。

一方、偽の檄文を作って、諸州の武門へ発送した。案の如く、司馬懿に対して、世間にいろいろな陰口が立ってきたところへ、この檄の一通が、洛陽城の門を守る吏員の手に入り、それはまた直ちに魏の宮中へ上達された。

檄文の内容は過激な辞句で埋まっている。魏三代にわたる罪状をかぞえ、天下の不平の徒へ向って、打倒魏朝を煽動したものである。

「これが真実、司馬懿の筆になった檄だろうか」

曹叡は、色を失いながらも、なお迷うものの如く、重臣の秘密会でこう下問した。