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さんごくし

三国志(七)

吉川 英治

吉川英治『三国志(七)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三国志、三国志。

N1 · 挑战 · 新字新假名 · 371,916 字 · 744 页

青空文庫

彼は韋康を諫めて、降参に反対した曲者ですが」

「それが義だ。弓矢の道だ。楊阜は斬らん」

馬超は、かえって、楊阜を助けたばかりか、用いて参事となし、冀城の守りをあずけた。

楊阜は心のうちに深く期すものがあるので、表面は従っていたが、ある時、馬超に告げて、数日の休暇を願った。

「わたくしの妻は、もうふた月も前に、故郷の臨で死にましたが、このたびの戦乱で、まだその葬いにも行っておりません。郷土の縁者や朋友のてまえ、一度は行ってこなければ悪いのですが」

馬超は即座に、

「よしよし。行ってこい」

楊阜は、帰郷した。しかし目的は、歴城の叔母を訪ねることにあった。この叔母は、近国までも、

「貞賢の名婦」と、聞えているひとだった。

「――面目もありませぬ」

叔母なる人に会うと、楊阜は床に伏して拝哭した。

「残念です。いま私は、甘んじて敵に飼われています。けれど心まで馬超にゆるしてはいません。今日、これへ来たのは、ほかに心外なことがあるからでした」

「楊阜、なぜそんなに女々しく哭くのかえ。人間は最後に真をあらわせばいいのです。生きているうちの毀誉褒貶など心におかけでない」

「有難うぞんじます。