Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme

Aozora Bunko

なにか、憚ることがあるとみえる。おお、いじらしい奴――というように婆のひとみはすぐ子の心持を読んだ。

「お通よ」

うしろを見ると、お通は十間ほど先に立って、婆を待っていた。

「――そなた、ひと足先へ行かっしゃれ。そうかというて、あまり遠くへ去んでもならぬぞよ、あの塵間塚のそばに立っていやい。すぐ後から行くほどに」

お通が、素直にうなずいて先へ行きかけると、

「これこれ、他へ去んだり、そのままどこぞへ走ろうとしても、婆の目がここから光っていることを知って置きゃい。よいか」

そして、すぐその体は、杉の樹蔭へ走り寄っていた。

「又八ではないか」

「おばばっ」

暗がりから、待ちかねていたような手が出て、婆の手を固くつかんだ。

「なんじゃわれは、そんなところへ竦みこんで。……オ、まあ、この子は、氷のようなつめたい手をして」

もうすぐ、そんな些細ないたわり心が、婆の目を意気地なくうるませてしまう。

そう叱られても、又八は恟々した眼で、

「……でもなおばば、今も、たった今もここを通ったろうが」

「誰がじゃ?」

「太刀を背中に負った、眼のするどい若衆だ」

「知っていやるのか」

「知らいでか、あいつが佐々木小次郎といって、つい先頃、六条の松原で、小っぴどい目にあわされた」