Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme
五
(この女は道づれを捜している――)
そう見える白い横顔だった。
又八は、ふいに、彼女の肩を抱えた。そして顔を押しつけるようにして、
「朱実。江戸へ逃げないか……」
と、囁いた。
五
朱実は、息をのんだ。
疑うように、又八の眼をじっと見つめ、
「え。……江戸へ?」
ふと、自分に返って、現実の境遇を見直すように反問した。
彼女の肩へ廻している手に、又八はそっと力をこめて、
「なにも江戸表とは限らないが、人の噂に聞けば、関東の江戸表こそこれからの日本の覇府になるだろうという話だ。今までの大坂や京都はもう古い都とされ、新幕府の江戸城を繞って、新しい町がどしどし建っているそうだ。――そういう土地へ行って逸早く割り込めばきっとなにかうまい仕事があるだろう。おめえも俺も、いわば群れからはぐれた迷い雁だ。……行かないか。……行ってみないか。……え、朱実」
囁かれている彼女の顔がだんだん熱心に聞いていた。又八はなお口を極めて、世の中の広さや、自分たちの若い生命を称えて、
「面白く暮すんだ、したいことをして送るんだ。それでなけれや生れた甲斐はない。もっと俺たちは図太い肚を持とうじゃねえか。