Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme

Aozora Bunko

八

――うううっと、仔牛のように唸きながら、権之助はなお、ととととと、三足ほど歩いてそのまま仆れ、武蔵も片手でみずおちを抑えながら、草の中へ、どたっと、腰をついて坐ってしまった。

そして、

「――負けた!」

と叫んだ。

武蔵がである。

権之助は声もない。

八

前のめりに仆れたまま、権之助はいつまでも動かなかった。――それを見入っているうちに、老母も喪心してしまった。

「みね打ちです」

武蔵は、老母へ向って、こう注意を与えた。それでもまだ、老母が起って来ないので、

「はやく、水をおやりなさい。御子息には、何処も怪我はない筈だ」

「……えっ?」

老母は、初めて顔を上げ、やや疑うように権之助の姿を見ていたが、武蔵のいうとおり、血にまみれてはいなかったので、

「オオ」

次には、蹌めいて、いきなりわが子の体へ、縋りついた。水を与え、名を呼んで、老母がその体を揺り動かすと、権之助は息をふき返した。――そして茫然と坐っている武蔵を見ると、

「怖れいりました」

いきなりその前へ行って土に額ずいた。武蔵はわれに還ると共に、慌ててその手を握り取って、

「いや、敗れたのは、其許ではない、拙者の方です」