Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(七)

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 350.912 Zeichen · 702 Bildschirme

Aozora Bunko

二

「オイ、どん栗坊主。待て」

と、呼んだ。

三、四名つづいて駈け寄って来るのであった。伊織は、駒の首をめぐらして、

「なんだと?」

と、怒ってみせた。

なりは小粒であるが、乗っている駒も鞍も、堂々たるものだった。

二

「降りろ」

仲間どもは、鞍の両側へ寄って来て、伊織を見あげた。

伊織は、何のわけか分らなかったが、仲間どもの小面が癪にさわって、

「何さ。何も、降りなくたっていいだろう。――後へ戻るとこだもの」

「何でもいいから降りろ。つべこべいわずと」

「嫌だっ」

「いやだと」

いうより早く、ひとりの仲間が、彼の足を抄いあげた。鐙に足の届いていない伊織の体は、苦もなく、馬の向う側へ転げ落ちた。

「御用のあるお方があちらで待っているのだ。ベソを掻かずに、早う来いっ」

襟がみをつかまれて、立場の方へずるずる引戻されて行った。――と、彼方から杖を立てて歩いて来た老婆がある。手をあげて、仲間どもを制しながら、

「ホホホホ。捕まったの」

と快げに笑った。

「あ」

伊織は、真向きに、老婆のまえに立った。いつぞや北条家の邸内へ来た時、柘榴の実をぶつけてやったおばばではないか。見たところ、その折とは違って、旅装いも改まっているのだ。