Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 350.912 Zeichen · 702 Bildschirme
「牢舎の中で、坐禅をしていたからの」
「その牢舎を、どうして出て来たんですか」
「後で、権之助から、ゆるゆる聞くがよい。ひと口にいえば、天の御加護があったか、遽かにきのう無罪をいい渡されて、秩父の獄舎から放されたのじゃ」
権之助が、すぐいい足した。
「伊織、もう心配すな。きのう川越の酒井家から、急使が来て、平あやまりに謝り、むじつのお疑いが晴れたわけだ」
「じゃあきっと、沢庵さまが、将軍様に頼んだのかも知れないよ。沢庵さまはお城へ上がったきり、まだ北条様のおやしきへ帰らないから」
伊織は遽かにお喋舌りになった。
それから、城太郎と出会ったことや、その城太郎が、実の父の薦僧と落ちて行ったことや、また、北条家の玄関さきへ、度々お杉ばばが訪れて、悪たいを並べたことなどを――歩き歩き話しつづけていたが、そのおばばで思い出したらしく、
「あ。それからね、先生、まだたいへんなことがあるよ」
と、懐中を掻い探って、佐々木小次郎の手紙を取り出した。
九
「なに、小次郎からの書状? ……」
仇と呼び合う者とはいえ、絶えたる者はなつかしい。まして、互いに砥石となって研き合っている仇である。