Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 350.912 Zeichen · 702 Bildschirme
ところが、存外にも、
「お前様か。母御の供養をしてくれというのは」
と、本堂の上から気楽な調子でいった僧がある。
肥えて、背も高く、大きな足をした坊さんである。僧正というからには定めし金襴の袈裟に払子を抱き、威儀作ろった人かと思えば、これはこのまま破れ笠と杖をもたせて、世間の軒端に立たせても、恥かしくないそのままの人だった。
だが、藤六は、
「はい、お願いの儀は、この人でございまする」
と、堂下の大地にぺたりと額ずいて、権之助に代って答えてるさま――やはりこの人が僧正だとみえる。
「…………」
権之助も、何か、あいさつをいって、藤六と同様に、ひざまずこうとすると、僧正はもう大きな足を、階段の下にありあわせた汚い藁草履へのせて、
「じゃあ、大日様のほうへお越し……」
と、数珠ひとつ持って、先へ歩いてゆく。
五仏堂だの、薬師堂だの、食堂だのの堂塔のあいだを繞って坊舎からすこし離れると、そこに金堂と多宝塔があった。
遅れて、後ろから追いかけて来た弟子僧が、
「お開けいたしますか」
と訊ね、僧正のうなずいた眼をみると、大きな鍵をもって、金堂の大扉をひらいた。
「お着座を」