Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 350.912 Zeichen · 702 Bildschirme
三
「かたじけない」
と、供の下男をうながして、まっすぐに立ち去った。
又八は見送って、
「……ああ。おれのおふくろ様も、どうしてござるやら?」
しみじみ、つぶやいた。
子を持って、彼も初めて、この頃わかりかけて来たここちがする。
「――あなた、行きましょう」
背の子を揺りあやしながら、朱実はうしろで待っていた。だがなお、又八は茫然と、彼方へ行く同じ年頃の老婆を見送っていた。
きょうは鷹も小次郎も、屋敷の内にいた。夜来からの来客は、庭内を埋めている。まさか主人が鷹野にも出られなかった。
「何しろ、欣ぶべきことだ」
「巌流先生の名声も、これで否やなく、一決する」
「めでたいといってもよかろう」
「そうだとも。曠世の御名誉にもなることだ」
「しかし、敵も武蔵。そこは十分、御自重していただかぬと」
大玄関にも、脇玄関にも、遠来の客のわらじで満ちていた。
はるばる、京大坂から来たというもの。また、中国筋の者、遠いのでは、越前の浄教寺村からという客もある。
家人では手が足りないので、岩間角兵衛の家族が来てもてなしている。また、家中の侍で、平常、巌流に師事している人々も、入り代り立ち代り、ここに詰めて、明後日の十三日を待っているのだった。