Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 350.912 Zeichen · 702 Bildschirme
三
藤堂、有馬、加藤、伊達――中には細川家の船旗も見える。
「……勘がいいなあ、又八」
大蔵は、煙草をつめ直して、
「その通り――ちょうどおめえの隣家には、井戸掘り親方の運平が住んでいるし、その運平から、いつも井戸掘り人足になれとすすめられてもいるだろう。渡りに舟というものじゃねえか」
「それだけでげすか。……井戸掘りに行きさえすれば、何かあっしに、大金の授かることがあるんでしょうか」
「ま。……あわてるな、相談というなあ、それからだよ」
三
――晩に忍んで来い。前金として黄金三十枚、耳をそろえて渡してやろう。
そう約して別れた。
又八の頭には、大蔵のいったその言葉しか、残っていない。
その代償として、
(やるか)
と大蔵から持ち出された条件に対しては、その内容を漠然と呑みこんで、
(やる!)
と、いったことだけしか後に覚えていないのである。しかし、そう答えた時、怪しく顫えた唇には、まだ微かな痺れが残っている気はしているが――
何としても、又八にとっては、金が魅力であった。しかも途方もない額である。
年来の不運はその金だけで埋め合せがつく。そして生涯の生活を保証される。