Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme
六
なんとでも思うがよい。明日とはいわない。もうやがて一刻の後には、その眼がいやでも醒めずにいまい」
「いったな!」
険悪きわまる声が、唾とともに、小次郎へ浴びせかけられた。怒りきった四十名からの人数が、一歩ずつうごいても、その殺気は、真っ黒に野原をおおうほどなものがある。
だが、小次郎は心得たものなのである。逸はやく飛びのいて、売る喧嘩なら買ってもよいという血気が隠されなかった。せっかく、彼が自分で説いていた好意というものも、これでは怪しみたくなるようなものである。わるく解釈すれば、ここに集まった群衆心理を利用して、武蔵と清十郎との試合の人気を、自分が攫ってしまうつもりでやっている仕事ではないかと取られても仕方がないほどにまで、小次郎の眼は、途端に、好戦的であった。
六
群衆が遠くからその様子をながめて、どよめき出したところであった。
その人混みを突きぬいて、一匹の小猿が、原へ向って、まるで鞠でも転がすように跳んで行った。
小猿の前には、若い女が、これもまた、転ばんばかりの迅さで、見得もなく、駈けて行くのが見える。
朱実であった。
吉岡門下の人々と、小次郎とのあいだに、すんでのこと、血でも見るかと思われた険悪な空気は、その朱実が、ふいに後ろからさけんだ言葉で掻き消された。