Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme

Aozora Bunko

三

又八は、彼女の脚から顔を見上げて、

「おめえも、旅支度だな、旅へ立つにしても、こんな所を今頃――なにしに歩いているのだ」

「又八さん。あなたのおっ母さんは?」

「おふくろか、おふくろは、この谷間の上に待たせてある」

「怒っていたでしょう」

「あ、路銀のことか」

「わたしは急に、旅立ちしなければならなくなったのです。けれど、旅籠の借銭も払えないし、路用のお金もないので、悪いことと知りながら、おばばさんの荷物と一緒にあった紙入れを、つい出来心で、黙って、持って来てしまった。……又八さん、堪忍してください。そして、わたしを見逃して下さい。きっと後で返しますから」

さめざめと泣き声の裡に、朱実が謝るのを、又八はむしろ意外な顔して、

「おい、おい。なにをそう謝るのだ。……アア分った。俺とおふくろが二人して、おめえを捕まえるために、ここへ追いかけて来たと勘違いしているんじゃねえか」

「でも、わたしは、出来心にしろ他人様のお金を盗って逃げたんですから、捕まれば、泥棒といわれても仕方がありませんもの」

「それやあ、俺のおふくろの云い草だ。俺にとれば、あれぐらいな金、おめえが真実困っているならこっちからやりたいくらいだ。