Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme
六
だが武蔵は、二刀を持って敵と闘いながらも、まだ二刀を使っているという意識などは全然ないのである。
六
浪と燕のようなものだ。
浪は燕を搏ち、燕は浪を蹴って、すぐ他へ翻ってしまう。
一瞬でも、静止はないが、双方の刃の下に仆れて、ばたッと大地に足掻く人間のすがたが眸に映るたびに吉岡方の大勢が、
「――あッ」
なんとはなく息をひいたり、
「――ウウム」
と、唸きを合せたり、気が眩んでくるような精神を醒まそうとするように、
「…………」
ず、ず、ずーとただ土に草鞋をずり合う音だけをさせて、武蔵を包囲しようとして来る。
――と、武蔵は。
ほっと、その間に呼吸をつく。
左剣は、前へかまえて、いつも敵の眼につきつけ、右手の大刀は横へひらいて、肩から腕――切ッ先まで、緩やかな水平に持ち――これは敵の眼の外にあそばせておくというような形。
大小二剣の尺と、両腕をいっぱいにひろげた尺とを合わせると、彼の爛々たる双眸を中心として、かなり広い幅になる。
敵が、正面を嫌って、
(――右)
と窺ってくれば、すぐ体ぐるみ右へ寄って、その敵を牽制し、
(左!)
と、直感すれば、ぱっと左剣が伸びて、その者を、二つの剣の中へかかえてしまう。