Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme

Aozora Bunko

「ならば、なおのこと、都合がよい。おまえに駄賃をやるが、洛内まで一走り、使いに行ってくれないか」

「行ってもよいが、家に病人のお客人がいるでの」

「その乳は、わしが届けてやった上、おまえの家で、返事を待っているとしよう。ここからすぐ行ってくれれば、陽のあるうちに帰って来られよう」

「それやあ造作もねえこったが……」

「案じるな。わしは、悪者でもなんでもない、今の婆どのも、あの元気で走れるようなら心配ないから抛っておくのだ。……今ここで手紙を書く。これを持って、洛内の烏丸家まで行って来てくれ。返事はおまえの茶店で待っている」

四

武蔵は、矢立の筆を抜いて、すぐ手紙を認めた。

お通へ――である。

無動寺にいた幾日かのあいだにも、折あらば――と機を心がけていた彼女への便りを、

「では、頼むぞ」

と今、女に渡し、自分の牛の背にまたがって、そこから半里ほどを悠々と牛の歩みにまかせて歩いた。

ほんの走り書きの一筆であったが、使いに持たせてやった自分の手紙の中の文言を思い泛べ――それを受けとるお通の胸をも想像して、

「二度と、会えようとは思わなかったが」

と、呟いた。

彼の笑顔には、明るい雲が映えて見える。