Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme
人間の子の最大な幸福を持たせられていながら、折角の幸福を、余りにもおぬしは自分で踏みにじっている。――仮にだ、おれに今、あんなおふくろがあったとしたら、おれの人生は、何倍も暖かに膨らむだろう。身を研くにも、功を立てるにも、どんなに張合いが持てるか知れないと思うのだ。なぜならば、親ほど正直に、子の功を欣んでくれるものはないからだ。自分のしたことを、共々欣んでくれる者があるのは大きな張合いというものじゃないか。――それのある者には、陳腐な道義の受け売りをしているように聞えるだろうが、こういう漂泊の空にある身でも、アアいい景色だなあと感じた時のような場合、側にもどこにもそれを語る者がいないということはその一瞬、実にさびしい心地の身になるものだぞ」
又八が、じっと耳を傾けて聞いてくれるので、武蔵も一息にそこまでいって、友の手頸を握りしめた。
「又八っ……。そんなことは、おぬしだって、百も承知に違いない。おれは、友達として頼むのだ。同じ郷土で育ったのだ。……なあおいっ、関ヶ原の合戦を望んで、槍を担いであの村を出た時の気持を、もいちどお互いに呼びかえして、勉強しようじゃないか。