Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme
お通と城太郎の消息を尋ね歩いていると、武蔵は、こうして暮れてゆく一日が惜しかった。彼の頭には、絶えず、この辺の地勢とか、水理とか、また、誰か聞えた武術家などはいないかなどと――そのほうへ頻りと心が動く。
だが、その両方ともに、大した収穫もなく、やがて黄昏頃、人足たちと約束した諏訪明神の境内へ来てみると、楼門の辺にも、まだ誰も来ている様子がない。
「ああ、疲れた」
呟きながら、彼は楼門の石段へどっかり腰をおろした。
気づかれというのか、こんな呟きが、嘆息のように出ることは滅多にない。
誰も来ない。
やや退屈を感じて広い境内を、一巡りしてまた戻って来た。
まだ約束した人足は一人も見えていなかった。
闇の中で、時々、戛つ、戛つ、と何か蹴るような響きがするので、武蔵は、時々、はっとわれに返るような眼をみはった。――それが気にかかるらしく、楼門の石段を降りて、ふかい木蔭の中にある一棟の小屋を窺ってみると、その中には、白い神馬が繋がれているのだった。耳についた物音は、神馬が床を蹴って暴れる音だった。
「御牢人、なんじゃ」
馬に飼糧をやっていた男が、武蔵の影を振向いて訊ねた。