Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme

Aozora Bunko

三

と、歯がみをしながら、もう気を失っている賊の良人を、無念そうに、叱咤していた。

「……あっ?」

武蔵は、その時、思わず身を離した。女は男以上に勇敢だった。刎ね起きざま、良人の捨てた短刀を拾って、再び、武蔵へ斬りつけて来たが、

「……おっ、おばさん?」

武蔵が意外な言葉を与えたので、賊の妻も、

「――えっ?」

息をひいて、喘ぎながら相手の顔をしげしげと――

「あっ、おまえは? ……。オオ武蔵さんじゃないか」

三

今もまだ、幼名の武蔵を、そのまま自分へ呼ぶ者は、本位田又八の母のお杉ばばを措いて、誰があろう?

怪しみながら、武蔵は、そう馴々しく自分を呼んだ賊の妻を見まもった。

「まあ、武さん、いいお武家におなりだねえ」

さもさも懐かしそうな女のことばだった。それは、伊吹山のよもぎ造り――後には娘の朱実を囮に、京都で遊び茶屋をしていた、あの後家のお甲であった。

「どうして、こんな所にいるのですか」

「……それを訊かれると恥ずかしいが」

「では、そこに仆れているのは……あなたの良人か」

「おまえも知っておいでだろう。元、吉岡の道場にいた、祇園藤次の成れの果てですよ」

「あっ、では吉岡門の祇園藤次が……」