Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme

Aozora Bunko

「城太」

大蔵はふり向いて、浮かない彼の顔つきへ、

「どうした、きょうは」

「へ? ……」

「どうかしたのか」

「どうもしません」

「ひどく、きょうに限って、むっつりしているじゃないか」

「はい……、大蔵様。実は、こうしていてはお師匠様にいつ行き会えるか分らないから、おいら、おじさんと別れて捜そうと思うんだけれど……いけないかな」

大蔵は膠なくいった。

「いけないな」

すると城太郎は、いつものように、馴々しく縋りかけたが、急に手を引っ込めて、

「どうして」

と恟々いう。

「一ぷくしよう」

大蔵はそういって、武蔵野の草に腰をおろした。そして挟み筥を担いでいる助市へ、先へ行けと手を振って見せる。

「おじさん、おいら、どうしても、お師匠様をはやく捜したいもの。だから一人で、歩いたほうがいいと思って――」

「いけないというのに」

難かしい顔を示しながら、大蔵は陶器の煙管で、すぱりとくゆらしながら、

「お前は、きょうから、おれの子になるのだ」

と、いった。

問題が重大なので、城太郎は唾をのんだ。だが、大蔵はもうにやにや笑っているので、冗談をいわれたのだと解して、

「いやなこった。おじさんの子になんかなるのは嫌だ」