Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme

Aozora Bunko

二

「さあ、外へ出い」

婆は、脇差に手をかけて、少しも年よりらしい怯みは見せない。

その勢いに、職人たちは、気をのまれてしまった。こんな婆さんがあろうかと意外であった。すがたや言葉づかいから考えて、侍のおふくろであることは知れているし、へたな真似をしては――と、急に惧れをなした顔いろである。

「この後、今のような無礼をしやると、承知せぬぞよ」

これでいいのだ、ばばは気がすんだとみえて、往来へ出て行った。往来の者は彼女のきかない気らしい後ろつきを見送ってちらかった。

すると、かんな屑を泥足にひきずった左官屋の小僧が、ふいに普請場の横から駈け出して行って、

「この、ばばめ」

いきなり、手桶のへどろを、彼女の体へぶちまけて、隠れてしまった。

二

「何するかっ」

振り向いた時は、もう悪戯の下手人はいなかった。

自分の背に浴びた壁土に気づくと、彼女の顔は、無念そうなうちに、泣き出しそうな顔を顰めて、

「何を笑う?」

と、こんどは、笑っている往来の者へ向って、いいちらした。

「げらげらと、何がおかしゅうて、笑い召さるのじゃ。老いぼれは、わしのみではないぞえ。おぬしらも、やがては年を老るのじゃぞ。