Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme
五
「たいへんだよ、お坊さん」
「何処かのお侍さんと、何処かのお侍さん達が、河原で喧嘩してるよ」
「一人と四人で」
「刀を抜いて」
「はやく行ってごらんよ」
番僧たちは、聞くとすぐ草履へ足を下ろして、
「またか」
と、呟いた。
すぐ駈け出そうとしたが、半瓦やお杉たちを顧みて、
「お客様方、ちょっと失礼いたします。なにせい、この辺の河原は、喧嘩には足場がよいので、なんぞというと、果し合いの場所になったり、誘き出しだの、撲り合いだの、絶えず血の雨のふる所でしてな。――その度に、お奉行所から始末書を求められますので、見届けておかぬと」
子供たちはもう、河原の森の際へ行って、なにか声をあげて昂奮している。
「斬合か」
嫌いでない半瓦の乾児二人も、その半瓦も、駈けて行った。
お杉ばばは、一番後から森を抜けて、河原境の樹の根に立って見渡した。――だが、彼女の足がおそかったので、彼女がそこへ出てみた時は、なにも、それらしい者は見えなかった。
また、あれほど躁いでいた子供も、駈け出した大人も、その他この界隈の漁村の男女も、皆、森の際や木の間がくれに、しいんと、生唾をのんでしまって、声一つ立てる者がない。