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Japanische Klassiker mit Furigana

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めいあん

明暗

夏目 漱石

Lesen Sie 明暗 (めいあん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 322.590 Zeichen · 645 Bildschirme

Aozora Bunko

彼はいつもの通り玄関を抜けて茶の間から勝手へ出ようとした。すると嬋娟に盛粧したお延が澄ましてそこに坐っていた。津田ははっと思った。寝起の顔へ水をかけられたような夫の様子に満足したらしい彼女は微笑を洩らした。

「今御眼覚?」

津田は眼をぱちつかせて、赤い手絡をかけた大丸髷と、派出な刺繍をした半襟の模様と、それからその真中にある化粧後の白い顔とを、さも珍らしい物でも見るような新らしい眼つきで眺めた。

「いったいどうしたんだい。朝っぱらから」

お延は平気なものであった。

「どうもしないわ。――だって今日はあなたがお医者様へいらっしゃる日じゃないの」

昨夜遅くそこへ脱ぎ捨てて寝たはずの彼の袴も羽織も、畳んだなり、ちゃんと取り揃えて、渋紙の上へ載せてあった。

「お前もいっしょに行くつもりだったのかい」

「ええ無論行くつもりだわ。行っちゃ御迷惑なの」

「迷惑って訳はないがね。――」

津田はまた改めて細君の服装を吟味するように見た。

「あんまりおつくりが大袈裟だからね」

彼はすぐ心の中でこの間見た薄暗い控室の光景を思い出した。そこに坐っている患者の一群とこの着飾った若い奥様とは、とても調和すべき性質のものでなかった。