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Japanische Klassiker mit Furigana

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めいあん

明暗

夏目 漱石

Lesen Sie 明暗 (めいあん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 322.590 Zeichen · 645 Bildschirme

Aozora Bunko

知っていながらわざと間違えたふりをして見せたのか、あるいは最初から事実を知らなかったのか、とにかく吉川はやっと腑に落ちたらしい言葉遣いをして、なおその当人の猿という渾名を、一座を賑わせる滑稽の余音のごとく繰り返した。夫人は半ば好奇的で、半ば戒飭的な態度を取った。

「猿だなんて、いったい誰の事をおっしゃるの」

「なにお前の知らない人だ」

「奥さん心配なさらないでも好ござんす。たとい猿がこの席にいようとも、我々は表裏なく彼を猿々と呼び得る人間なんだから。その代り向うじゃ私の事を豚々って云ってるから、同なじ事です」

こんな他愛もない会話が取り換わされている間、お延はついに社交上の一員として相当の分前を取る事ができなかった。自分を吉川夫人に売りつける機会はいつまで経っても来なかった。夫人は彼女を眼中に置いていなかった。あるいはむしろ彼女を回避していた。そうして特に自分の一軒置いて隣りに坐っている継子にばかり話しかけた。たとい一分間でもこの従妹を、注意の中心として、みんなの前に引き出そうとする努力の迹さえありありと見えた。それを利用する事のできない継子が、感謝とは反対に、かえって迷惑そうな表情を、遠慮なく外部に示すたびに、すぐ彼女と自分とを比較したくなるお延の心には羨望の漣が立った。