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Japanische Klassiker mit Furigana

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めいあん

明暗

夏目 漱石

Lesen Sie 明暗 (めいあん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 322.590 Zeichen · 645 Bildschirme

Aozora Bunko

お延はそれを知ってるので、わざと言葉をかけた。

「百合子さん、あたしまたお邪魔に上りましたよ。よくって」

百合子は「よくいらっしゃいました」とも云わなかった。机の角へ右の足を載せて、少し穴の開きそうになった黒い靴足袋の親指の先を、手で撫でていたが、足を畳の上へおろすと共に答えた。

「好いわ、来ても。追い出されたんでなければ」

「まあひどい事」と云って笑ったお延は、少し間をおいてから、また彼女を相手にした。

「百合子さん、もしあたしが津田を追い出されたら、少しは可哀相だと思って下さるでしょう」

「ええ、そりゃ可哀相だと思って上げてもいいわ」

「そんなら、その時はまたこのお部屋へおいて下すって」

「そうね」

百合子は少し考える様子をした。

「いいわ、おいて上げても。お姉さまがお嫁に行った後なら」

「いえ継子さんがお嫁にいらっしゃる前よ」

「前に追い出されるの? そいつは少し――まあ我慢してなるべく追い出されないようにしたらいいでしょう、こっちの都合もある事だから」

こう云った百合子は年上の二人と共に声を揃えて笑った。そうして袴も脱がずに、火鉢の傍へ来てその間に坐りながら、下女の持ってきた木皿を受取って、すぐその中にある餅菓子を食べ出した。