Japanische Klassiker mit Furigana
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めいあん
明暗
Lesen Sie 明暗 (めいあん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 322.590 Zeichen · 645 Bildschirme
「今頃お八ツ? このお皿を見ると思い出すのね」
お延は自分が百合子ぐらいであった当時を回想した。学校から帰ると、待ちかねて各自の前に置かれる木皿へ手を出したその頃の様子がありありと目に浮かんだ。旨そうに食べる妹の顔を微笑して見ていた継子も同じ昔を思い出すらしかった。
「延子さんあなた今でもお八ツ召しゃがって」
「食べたり食べなかったりよ。わざわざ買うのは億劫だし、そうかって宅に何かあっても、昔しのように旨しくないのね、もう」
「運動が足りないからでしょう」
二人が話しているうちに、百合子は綺麗に木皿を空にした。そうして木に竹を接いだような調子で、二人の間に割り込んで来た。
「本当よ、お姉さまはもうじきお嫁に行くのよ」
「そう、どこへいらっしゃるの」
「どこだか知らないけれども行く事は行くのよ」
「じゃ何という方の所へいらっしゃるの」
「何という名だか知らないけれども、行くのよ」
お延は根気よく三度目の問を掛けた。
「それはどんな方なの」
百合子は平気で答えた。
「おおかた由雄さんみたいな方なんでしょう。お姉さまは由雄さんが大好きなんだから。何でも延子さんの云う通りになって、大変好い人だって、そう云っててよ」