Japanische Klassiker mit Furigana
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めいあん
明暗
Lesen Sie 明暗 (めいあん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 322.590 Zeichen · 645 Bildschirme
「そりゃ知ってるよ。先刻もうお前から聞いたじゃないか」
「だからよ。あたしが持って来たって云うのよ」
「僕を焦らすためにかい、または僕にくれるためにかい」
お秀は打たれた人のように突然黙った。そうして見る見るうちに、美くしい眼の底に涙をいっぱい溜めた。津田にはそれが口惜涙としか思えなかった。
「どうして兄さんはこの頃そんなに皮肉になったんでしょう。どうして昔のように人の誠を受け入れて下さる事ができないんでしょう」
「兄さんは昔とちっとも違ってやしないよ。近頃お前の方が違って来たんだよ」
今度は呆れた表情がお秀の顔にあらわれた。
「あたしがいつどんな風に変ったとおっしゃるの。云って下さい」
「そんな事は他に訊かなくっても、よく考えて御覧、自分で解る事だから」
「いいえ、解りません。だから云って下さい。どうぞ云って聞かして下さい」
津田はむしろ冷やかな眼をして、鋭どく切り込んで来るお秀の様子を眺めていた。ここまで来ても、彼には相手の機嫌を取り返した方が得か、またはくしゃりと一度に押し潰した方が得かという利害心が働らいていた。その中間を行こうと決心した彼は徐ろに口を開いた。