Japanische Klassiker mit Furigana
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めいあん
明暗
Lesen Sie 明暗 (めいあん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 322.590 Zeichen · 645 Bildschirme
日常瑣末の事件のうちに、よくこの特色を発揮する彼女の所作を、津田は時々自分の眼先にちらつく洋刀の光のように眺める事があった。小さいながら冴えているという感じと共に、どこか気味の悪いという心持も起った。
咄嗟の場合津田はお延が何かの力で自分の帰りを予感したように思った。けれどもその訳を訊く気にはならなかった。訳を訊いて笑いながらはぐらかされるのは、夫の敗北のように見えた。
彼は澄まして玄関から上へ上がった。そうしてすぐ着物を着換えた。茶の間の火鉢の前には黒塗の足のついた膳の上に布巾を掛けたのが、彼の帰りを待ち受けるごとくに据えてあった。
「今日もどこかへ御廻り?」
津田が一定の時刻に宅へ帰らないと、お延はきっとこういう質問を掛けた。勢い津田は何とか返事をしなければならなかった。しかしそう用事ばかりで遅くなるとも限らないので、時によると彼の答は変に曖昧なものになった。そんな場合の彼は、自分のために薄化粧をしたお延の顔をわざと見ないようにした。
「あてて見ましょうか」
「うん」
今日の津田はいかにも平気であった。
「吉川さんでしょう」
「よくあたるね」
「たいてい容子で解りますわ」