Japanische Klassiker mit Furigana
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めいあん
明暗
Lesen Sie 明暗 (めいあん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 322.590 Zeichen · 645 Bildschirme
「そうかね。もっとも昨夜吉川さんに話をしてから手術の日取をきめる事にしようって云ったんだから、あたる訳は訳だね」
「そんな事がなくったって、妾あてるわ」
「そうか。偉いね」
津田は吉川の細君に頼んで来た要点だけをお延に伝えた。
「じゃいつから、その治療に取りかかるの」
「そういう訳だから、まあいつからでも構わないようなもんだけれども……」
津田の腹には、その治療にとりかかる前に、是非金の工面をしなければならないという屈託があった。その額は無論大したものではなかった。しかし大した額でないだけに、これという簡便な調達方の胸に浮ばない彼を、なお焦つかせた。
彼は神田にいる妹の事をちょっと思い浮べて見たが、そこへ足を向ける気にはどうしてもなれなかった。彼が結婚後家計膨脹という名義の下に、毎月の不足を、京都にいる父から填補して貰う事になった一面には、盆暮の賞与で、その何分かを返済するという条件があった。彼はいろいろの事情から、この夏その条件を履行しなかったために、彼の父はすでに感情を害していた。それを知っている妹はまた大体の上においてむしろ父の同情者であった。妹の夫の手前、金の問題などを彼女の前に持ち出すのを最初から屑よしとしなかった彼は、この事情のために、なおさら堅くなった。