Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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めいあん

明暗

夏目 漱石

Lesen Sie 明暗 (めいあん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 322.590 Zeichen · 645 Bildschirme

Aozora Bunko

「また切るんです。そうして前よりも軽く穴が残るんです」

「心細いですな」

「なに十中八九は癒るにきまってます」

「じゃ本当の意味で全癒というと、まだなかなか時間がかかるんですね」

「早くて三週間遅くて四週間です」

「ここを出るのは?」

「出るのは明後日ぐらいで差支えありません」

津田はありがたがった。そうして出たらすぐ温泉に行こうと覚悟した。なまじい医者に相談して転地を禁じられでもすると、かえって神経を悩ますだけが損だと打算した彼はわざと黙っていた。それはほとんど平生の彼に似合わない粗忽な遣口であった。彼は甘んじてこの不謹慎を断行しようと決心しながら、肚の中ですでに自分の矛盾を承知しているので、何だか不安であった。彼は訊かないでもいい質問を医者にかけてみたりした。

「括約筋を切り残したとおっしゃるけれども、それでどうして下からガーゼが詰められるんですか」

「括約筋はとば口にゃありません。五分ほど引っ込んでます。それを下から斜に三分ほど削り上げた所があるのです」

津田はその晩から粥を食い出した。久しく麺麭だけで我慢していた彼の口には水ッぽい米の味も一種の新らしみであった。