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にんきょうにとうりゅう

任侠二刀流

国枝 史郎

「名古屋新聞」1926(大正15)年5月24日~12月26日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 224,569 字 · 451 页

青空文庫

ちょっと口惜しいが山影め、俺なんかよりいい男だ。そこで浜路が惚れたってものだ。しかるに御岳の山中に、薬草道人という隠者がいて、どうやらこいつが徳本らしい。で俺も山影も、道人さがしに取りかかったんだが、そのうちにわかに道人めが、この名古屋へ来てしまったのだ。そこでそいつを追っかけて俺もこの地へやって来たついでに、太郎丸様にお目にかかり、お紋さんとも逢ったって訳だが、俺の思うに山影めも、薬草道人の後を追い、名古屋へ来たに相違ない。山影が名古屋へ来たからには、初心の娘の一本気から、浜路も名古屋へ来ただろうと、こう見当をつけていたところ、案の定来ていたというものさ」

「でもよくうまく目付かったものだね」

「ナーニあの娘には用はねえが、薬草道人を目付けたいものと、昨日もブラブラ歩いているうちに、偶然目付かったというものさ」

「とにかくそういう娘があるなら、是非さらって来て玉に使おう。だがどうしてさらったものかね」

「こいつがちょっと厄介だなあ。何しろ宗春がいないというので、名古屋城中は大騒ぎ、そこへ美しい旅の娘が、またさらわれたと噂が立ったら、事少しく面倒になるなあ」