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にんきょうにとうりゅう

任侠二刀流

国枝 史郎

「名古屋新聞」1926(大正15)年5月24日~12月26日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 224,569 字 · 451 页

青空文庫

義直より伝わる一品とは?

お前さん達は短気でいけない、もっとゆっくりするがいい。そろそろ秋だ、菊の花が咲こう、東籬の下に菊を採り、ノンビリとして伊吹山をご覧。そうして穏しくお茶でも飲み、膝組みで談合するがいい。どうしたら住みよいホッタテ小屋を、建てることが出来るかという談合をな。……大勢は駸々として進んで行くよ。そうともそうとも成就に向かってな。適せない物は自然に亡びる。こいつだけはどうにも仕方がない。うまく舵さえ取って行けば、適した物だけは必ず栄える。ところが浮世の殺人受け負い業者、云いかえると英雄豪傑だが舵の取り方がうまくないなあ」ヒョイと振り返ると薬草道人、一人のモカへ話しかけた。「お霜さんお霜さんちょっと訊くがね、他人に真っ向から叱られた時、お前さんにはどうするね?」

義直より伝わる一品とは?

抜き身を持った島津方の武士、抜き身を持った水戸方の男女! いわば修羅の戦場である。その間に立った薬草道人、平然とモカと話し出した。

「他人に真っ向から叱られたら、妾も叱って返します」お霜というモカの返辞である。

「ああそうだろうね。それが本当だ。……お米さんお米さん、お前さんはどうだね?」