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にんきょうにとうりゅう
任侠二刀流
国枝 史郎
「名古屋新聞」1926(大正15)年5月24日~12月26日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 224,569 字 · 451 页
いよいよ宗春救われたり矣
さて充分用心をし、最後の段まで下りた時である。
「ヤッ、浜路が!」と萩原仁右衛門、恐怖の声を筒抜かせた。
「山影様が!」とつづけてお仙。
「やッ、薬草道人様!」またも仁右衛門叫び声を上げた。
「おッ、お吉様もおいでなさる! おおそうして伊集院めも!」組紐のお仙の叫び声!
いよいよ宗春救われたり矣
萩原仁右衛門と組紐のお仙、最後の段に立った時、地下室に起こった光景はといえば、ザッと次のようなものであった。
一人の立派な侍が――すなわち尾張宗春であったが、両手で浜路を抱き縮め、まさに床上へ倒そうとしていた。と、その部屋の左手の扉が、ガチンとばかりに開けられた。その戸口から見えたのは、一人の女――鷺組のお絹、そうして山影宗三郎であった。
それと同時に右手の扉が、凄じい勢いで蹴放された。そうして顔を覗かせたのは、山形三弥と山路紋右衛門、他城中の捜索隊であった。
その一瞬間に酒場の浜路、最後の勇気を腕へこめ、尾張宗春を突き退けた。で浜路は反動的に、隣り部屋の方へよろめくし、宗春は床の上へ転がった。
とたんに床が一方へ傾き、そこへ隙間があらわれた。その隙間から見えたのは、薬草道人と六文のお吉、そうして紅丸と猪十郎!