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にんきょうにとうりゅう

任侠二刀流

国枝 史郎

「名古屋新聞」1926(大正15)年5月24日~12月26日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 224,569 字 · 451 页

青空文庫

道人鳥獣へ別れを告げる

それと見て取るや組紐のお仙、清らかになった心持ちが、嫉妬と反感にひっくり返った。

舟から飛び上がると叫んだものである。

「お気の毒さま、お吉さん、妾の方が一足早く道人様のお住居を、突き止めることが出来ました。山影様、山影様、でも薬草道人様は、只今お留守でございます。そうしていつ頃帰られるやら、解らないそうでございます」

道人鳥獣へ別れを告げる

薬草道人の湖上の住居、そこへお仙が入り込んだ日の、ちょうど払暁のことであった。一里も下ったら福島へ出よう、そういう地点の林の中に、薬草道人は休んでいた。

やおら立ち上がるとお別れの言葉――

「さあさあいよいよお別れだ。鳥さんも獣さんもお帰りお帰り。それでも本当によく送ってくれた、だがもうこれからは人里だ。あぶないあぶない、お帰りお帰り。しかしだ、よいかな、お前達、わしがお山にいないといって、乱暴をしてはいけないよ。どこにいようとわしの眼には、お前達のやることがみんな解る。で、穏しく暮らさなければいけない。これこれ狼さん狼さん、むやみと人なぞへ喰い付くなよ。そうして何んだ、兎さんなぞを、追っかけ廻してはいけないよ。