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にんきょうにとうりゅう
任侠二刀流
国枝 史郎
「名古屋新聞」1926(大正15)年5月24日~12月26日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 224,569 字 · 451 页
のた打ち廻る薪十郎
「え、本当か、俺らと行くか」
「お前も役者、わしも役者、旅へ行って稼ごうよ」尚も腕を引き寄せる。
「有難えなあ、夢のようだ! 稼ぐぜ稼ぐぜ、そうなったひにゃア。……ところでどっちへ行こうかね」
「そうさねえ、どこへ行こう?」ソロソロと片手を上へ上げる。
「そうだこれから夜をかけて、中仙道を行くとしよう」
「中仙道かえ、ああいいとも」右手が髪まで延ばされた。
「初の泊まりは太田かな」
「ああいいねえ、太田にしよう」ス――と簪を引き抜いた。
「それにしても痛え痛え、そうマア腕を引っ張るなよ」
「痛いかえ、オイ薪さん。……もっと痛めてやろうかねえ」
「ワクワクするなあ、肌のぬくみ」
「ねえ薪さん」と含んで笑い、「中仙道は止めようよ」
「そうか、それじゃア東海道?」
「いいえさ、冥土の道がいいよ!」左手で抱き締め動かさず、右手を揮うと力をこめ、「どんなものだえ!」と突っ込んだ。
「ワッ」という悲鳴、顔を抑え、ドッと仆れた薪十郎、「荻野八重梅、わりゃア俺の!」
「眼を突いたがどうしたえ」後へ退って及び腰、
「左だったか右だったか、妾ア右を狙った筈だよ」
「人殺シーッ」と意気地なしめ! 野郎のくせに喚き出した。