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にんきょうにとうりゅう

任侠二刀流

国枝 史郎

「名古屋新聞」1926(大正15)年5月24日~12月26日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 224,569 字 · 451 页

青空文庫

筒口天へポンと向く

また太郎丸やり出した。「まだ唖者かな、石仏かな、無言の行者でござんすかな! では止むを得ぬ、俺の口から、今夜の企て話してやろう! 実はな、お前の天文の才、どのくらいあるか験して見よう、そこでここまで連れては来たが、期待は外れた、解らないらしい。実はな」

と云った時、西川正休、

「殿!」と始めて声を出した。

「何んだ?」と訊き返した太郎丸。

「殿の悪戯、破れましてござるよ!」

「何を!」と云うのを押っかぶせ、「聖者星の光芒、燦然たりじゃ!」凜として正休云ったものである。

筒口天へポンと向く

「聖者星の光芒燦然たりじゃ!」

正休に云われて太郎丸、「それがどうした!」と眼を怒らせた。

「殿の計画、すなわち画餅!」

「馬鹿な!」と太郎丸セセラ笑った。「今回の企て聖者星に、何んの関係あるものか!」

「聖者星の星主、城中にござる!」

「それは誠か?」と太郎丸、いささかギョッとしたらしい。「云え! 何者? 星の主?」

「いまだその儀は……拙者にもな」

「とまれそいつが邪魔したのか?」

「さよう」というと西川正休、自信をもって悠然といった。「いかにも一時は幸臣星。危く光を失いかけてござる」