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にんきょうにとうりゅう
任侠二刀流
国枝 史郎
「名古屋新聞」1926(大正15)年5月24日~12月26日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 224,569 字 · 451 页
弥五郎乾児を四方へ配る
明るい愉快な笑い声である。釣られて武士達も笑い出してしまった。
笑いが一同を親しくした。
これから変った無礼講が、名古屋城内ではじまることになったが、ちょうどこの頃蝮酒屋でも、変った団欒が行われていた。
ここは蝮酒屋の奥座敷、集まっているのは仁右衛門、宗三郎、浜路にお仙にお絹である。一人新規の人物がいる。弥五郎という蝮酒屋の主人、年の頃は四十前後、一見侠勇の仁態である。片手を上げると二百三百、命のいらない人足どもが集まって来ようという親分様で、三丁目の戦場から引きあげて来た、宗三郎他四人の男女を進んでかくまっているのである。
弥五郎乾児を四方へ配る
宗三郎は宗三郎の身の上を話し仁右衛門は仁右衛門の身の上を話し、お仙はお仙の身の上を話し、浜路は浜路の身の上を話し、お絹はお絹の身の上を話した。誰も彼も苦しんだことになった。わけても浜路の気の毒な受難は、みんなの同情を引いたものである。
「そんな酷い目に逢ったのも、みんな山影宗三郎様のためだ。何んてお気の毒なことだろう。浜路様の受難に比べると、妾の受難など物の数でもない。宗三郎様を諦めて、いっそ浜路様に譲ろうかしら」