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にんきょうにとうりゅう

任侠二刀流

国枝 史郎

「名古屋新聞」1926(大正15)年5月24日~12月26日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 224,569 字 · 451 页

青空文庫

山窩の山塞へ案内しろ

「何かの功徳になるのかい」

「彼奴らの眼から見る時は、俺らは『進まねえ連中』なのだ。その連中に引っ剥がれてみろ、『あッ、こいつあ進み過ぎたかな』……彼奴らだってきっと考えるだろう」

「それじゃあ俺らの追い剥ぎは、彼奴らにとっては親切な筈だが」

「あんまり大きな親切なので、それが彼奴らには解らねえのさ」銅兵衛ここで頤を撫でた。「だがそれにしてもこう不漁じゃあ、親切の乾物が出来そうだ。小判の五六枚も降らねえかな」

これはいったいどうしたことだ、そう云ったとたんヒラヒラと、五枚の小判が降って来た。

「あッ、そうか、こういうお天気には、やはり小判が降るものと見える」トボンと山窩達空を仰いだ時、一人の旅人が突っ立った。

山窩の山塞へ案内しろ

山窩の前へ突っ立ったのは、他ならぬ伊集院五郎である。

「使える金だ、取っとけ取っとけ」焚火を隔てて坐り込んだ。

驚いたのは山窩である。まず銅兵衛がお辞儀をした。

「へえ、旦那は旅の方で? それとも天の神様で?」

「そうさなあ」と伊集院、ヘラヘラ笑いをやり出したが、「五両で神様に成れるなら、成ってやった方がよさそうだ。場合によってはもう五両出そう、そうしたら今度は何にしてくれるな?」