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にんきょうにとうりゅう
任侠二刀流
国枝 史郎
「名古屋新聞」1926(大正15)年5月24日~12月26日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 224,569 字 · 451 页
浜路贋手紙に引っ掛かる
「まあ!」と叫ぶと飛び返った。「ご覧なさりませ、山影様!」
そこで山影宗三郎、鍵の穴から覗き込んだ。まず最初に、「むう――」と唸り、それからよろめいたものである。
「浜路殿がおられる! 浜路殿が!」
そこで浜路の物語になる。
浜路贋手紙に引っ掛かる
山影宗三郎と鷺組のお絹、二人が地下道へ入り込んだ日の、ちょうど夕方のことである、桑名町の旅籠、三升屋の二階、そこの上等の一室に、話し合っている男女があった。
「どうも空耳ではなさそうだよ、たしかに昨夜聞き覚えのある、道人様のお車の、轍の音を聞いたようだよ」こう云ったのは萩原仁右衛門。
「妾もそんなように思われます」こう云ったのは浜路である。
御岳を下りて中仙道を下り、名古屋の城下へ入り込んで以来、親子二人してここに宿り、日数を重ねた目的は、山影宗三郎を探すためであった。
純な乙女の恋心、宗三郎が道人の後を追い、名古屋へ行ったと知った時、浜路は遮二無二一人ででも、後を追おうと云い出した。仁右衛門一時は止めたものの、止めて止まりそうな様子ではない。さりとて若い娘一人を、放してやる事は出来なかった。そこで自分が附き添って、共々名古屋へ来たのであったが、名古屋は広く且つ繁華、宗三郎のおり場所を、さがし当てることは出来なかった。