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にんきょうにとうりゅう
任侠二刀流
国枝 史郎
「名古屋新聞」1926(大正15)年5月24日~12月26日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 224,569 字 · 451 页
薬草道人福島の失敗
すると紅丸が後をつづける。
「安い安い万病薬、お買いなされお買いなされ」
するとまた道人口上を述べる。
薬草道人福島の失敗
またも道人口上を述べる。
「本来病気はよいもので、病人は大概善人で、ピンピンたっしゃな連中が、ロクでもない事を致します。とは云えそいつは体のことで、心の病気は困ります。心に病気のある奴ほど、体はたっしゃでございます。それに反して体が弱い、すると心が澄み返り、悪いことなんか致しません。つまり心に恥じるからで。そこでよろしく人間は、病気になるに限ります。さようさよう体のな。健全の肉体に健全の精神! この格言は無用でがす。病気の体に健全の精神! こういかなければいけません! 例を上げるといくらもある。とてもとても上げ切れない。殺人の上手なお侍さん、みんなたっしゃでございます。が心はご病気で。さようさよう血吸病! ……蘇我の入鹿に北条高時、足利尊氏、斎藤道三、体がたっしゃで心が病気! こまった奴らでございます。大忠臣の大楠公、そのご子息の小楠公、みんな体がお弱くて、心はたっしゃでございました。こういかなければいけません。――私の師匠の道人様、つむじ曲がりの偏屈者、人間が嫌いで山へ入り、スネで浮世を暮らしましたが、時々このように云われました。