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にんきょうにとうりゅう

任侠二刀流

国枝 史郎

「名古屋新聞」1926(大正15)年5月24日~12月26日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 224,569 字 · 451 页

青空文庫

助けてください道人様!

「至急目付けて討ち果たさずばなるまい」

「心得ましてございます」

その時間の襖が開き、小侍が現われた。

「トヤ駕籠帰りましてございます」

「おおそうか」と太郎丸、「で、獲物は? とり抑えたかな」

「はい、首尾よく参りましたそうで」

「そうか」と太郎丸立ち上がった。「すぐに廻せ! 中庭の方へ! 伊集院、お紋、さあ参れ!」三人揃って中庭へ出た。

助けてください道人様!

太郎丸とお紋と伊集院、中庭に出るともう宵だ。庭の一所に築山がある。そこまで行くと立ち止まった。と、建物の角を廻り、現われたのは例のトヤ駕籠、トンと下ろすと二人の駕籠舁き、平伏をしたものである。

「喜三太、嘉市、ご苦労であった。すぐに娘を引き出すよう」島津太郎丸声をかけた。

「はっ」というと先棒の喜三太、ポンと駕籠の戸を引きあけた。

覗き込んだ太郎丸、「うむ、可哀そうに気絶をしている。が、結句幸いだ。気絶したまま地下道へ運べ」

築山の一所へ手を触れた。とそこへ口があいた。すなわち間道の入口である。真っ先に進んだは太郎丸、つづいて伊集院とお紋が行く。その後から喜三太と嘉市、気絶している浜路の体を、肩と両足とで支えながら、三人の後から従いて行く。