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にんきょうにとうりゅう
任侠二刀流
国枝 史郎
「名古屋新聞」1926(大正15)年5月24日~12月26日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 224,569 字 · 451 页
恩讐一所に顔を合わせる
まるで小人の心のようだ。怒ったかと思うと笑い出す」
こんなことを云いながら歩いて行く。
空も海も和んでいる。小春のように暖かい。ピチャピチャピチャピチャと音を立て、漣が岸へ上がって来る。沖は紺青、空も紺青、四方八方カラッと明るい。岩上に海鳥が群れている。仲よく何か話している。沢山の貝が散っている。日光がそれをお化粧し、紫色の陰影をつけている。
道人と並んで紅丸が行く、その後から薬剤車、曳いているのは猪十郎。
「おや」と云うと薬草道人、ヒョイとばかりに足を止めた。「溺死人があるよ、しかも八人!」
いかさま男女とりまぜて、八人の溺死人が海岸の砂に、その死骸をさらしている。
「難船して死んだ人達だな。そう云えば沢山船の破片が、あっちにもこっちにも散らかっているよ。……やッ大変、知っている人達だ!」
道人驚いて覗き込んだ。
「これは萩原の仁右衛門さんだ。ここにいるのは浜路さんだ。……これはうっちゃって、置かれない。どれ」
と云うと腰をかがめ、仁右衛門をはじめ八人の者の、胸を開いて脈搏を見た。
「しめた! 紅丸、活き返るぜ!」
「さあさあそれでは膏薬膏薬」紅丸膏薬を出そうとした。