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にんきょうにとうりゅう
任侠二刀流
国枝 史郎
「名古屋新聞」1926(大正15)年5月24日~12月26日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 224,569 字 · 451 页
生地を現わした女役者
こう云ったのは浜路である。不安で声が顫えている。
「それではもしや山影様は、島津太郎丸一味の者に、連れて行かれたのではございますまいか?」こう云ったのは組紐のお仙、恐怖で声が顫えている。
浜路フッと気が付いた。「姿が見えない、門附け衆の?」
「おや」とお仙も気が付いた。
「どこへ行ったのでございましょう?」
いかさまこの時、八重梅の姿、どこへ行ったものか見えなかった。変だな! と二人思った時、木蔭から人影が現われた。黒装束で十二、三人!
生地を現わした女役者
木蔭から現われた十二、三人の人影、タラタラと並んだものである。
ヒョイと一人が前へ出た。
「これは浜路さんにお仙さん、随分久しく逢いませんでしたねえ」
常夜燈の光に照らされて、烏組のお紋だとすぐ解った。
「あい妾さ、烏組のお紋さ」お紋愉快そうに喋舌り出した。「でもご縁があったと見え、お目にかかることが出来ましたねえ。と云うよりもこう云った方がいい。島津のご前太郎丸様、別嬪の浜路様にご用があり、妾達が迎いに参ったとね? もう駄目だよ、往生おしよ。ジタバタしたって仕甲斐はない。……それから組紐のお仙さんだが、これは別段太郎丸様が、ご用というのでもないのだがね、だがお前さんも美しい、浜路さんとはうっつかっつさ。