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にんきょうにとうりゅう
任侠二刀流
国枝 史郎
「名古屋新聞」1926(大正15)年5月24日~12月26日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 224,569 字 · 451 页
地下に作られた愛慾地獄
これがお絹の頼みであった。
地下に作られた愛慾地獄
杉の大木へ蛇を入れる! まことに平凡な依頼であった。早速引受けた組紐のお仙、お絹と連れ立って行くことにした。
御器所の森、大杉の木の前。――
宵の口ではあったけれど、四辺は寂然と物寂しい。枝葉茂って空を蔽い、星の光さえ通さない。とカチカチと燧石の音! ボッと一点の火が灯もった。忍び衆の持つ忍び龕燈、それをお絹が灯もしたのである。照らし出された二人の女、顔を集めて囁き合う。
「ご覧なさいませお仙様、ここに小穴がございます」こう云ったのは鷺組のお絹。
「おやおや腐穴でございますのね」こう云ったのはお仙である。
「内は空洞でございますよ」
「何かいるのでございましょうか?」
「ええ沢山の烏がね。そうして一丁の駕籠があります。そうして一人の高貴な方が!」お絹微笑んだものである。
腰を探ると一丁の矢立、それを取り出した鷺組のお絹、懐紙へサラサラ文字を書いた。引き裂くと細く縒によった。頷いて受け取った組紐のお仙、小蛇の首根っ子へ結び付けた。
と立ち上がった組紐のお仙、小蛇を小穴へ入れたものである。
ヒューッと鳴らす口笛の音! 蛇に勇気を付けるためだ。