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にんきょうにとうりゅう

任侠二刀流

国枝 史郎

「名古屋新聞」1926(大正15)年5月24日~12月26日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 224,569 字 · 451 页

青空文庫

次々に来るご注進

「気の毒なものだな、困ったものだ。……お城からは人数を出さないのかしら? 町役人どもはどうしているんだろう?」

その時一つの人影が、辷るように走って来た。

「オイ誰だ!」と乾児の隼太。

「へい、わっちで、松吉で、ちょっとご注進に参りやした」

次々に来るご注進

ご注進に来た松吉という乾児、片膝つくと述べ立てた。

「お城から人数が出ましたんで。大変な人数でございますよ。五百以上も出ましたかしら。太郎丸の屋敷をグルグルと、オッ取り囲んでしまいました。蟻の這い出る隙もない! と云ったようなありさまでね。いや素晴らしい勢いです。弓鉄砲まで担ぎ出し、二段三段に備えを立て、揉みに揉んで揉み潰す、ワッワッという鬨の声! と云いたいんでございますがね、何んと不思議じゃアございませんか、ただ遠巻きに取り囲み、静まり返っているばかりで。云ってみれば張り番だ! 番をしているのでございますよ。いったいそれでよいものでしょうか? 変梃だなアと思いましたので、お役人さんに聞いてみますとね、これ以外にはやり方がない、相手は大領島津の一族柳営にさえも名を知られた、島津太郎丸とあってみれば、掻い撫でに入り込んだ敵方の間者を、人知れず片附けてしまうという、そういうやり方も出来がたい。