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にんきょうにとうりゅう
任侠二刀流
国枝 史郎
「名古屋新聞」1926(大正15)年5月24日~12月26日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 224,569 字 · 451 页
死が三人を審判いたのである
肩を切られた荻野八重梅、悲鳴も上げずに歯を食いしばり、左へドッタリ仆れたが、這い寄ると幹之介へ縋り付いた。
「これこそ……幹様……妾の本望!」
胡坐を組んだ幹之介、同じ刀で自分の腹を!
死が三人を審判いたのである
腹を切った志水幹之介、グ――ッと体をのめらせた。それへ取り縋った荻野八重梅自然と体がもつれ合い、背と背とがもたれ合った。一人は肩から、一人は腹から、手繰られるように血を流した。常夜燈の光が照らしている。火事の光が照らしている。苦痛が全身を渡るとみえ、二人ながら片息だ。それも次第に絶えて行く。
「あなたに……切られて……死ぬこそ本望……」八重梅だんだん落ち入りながら、途切れ途切れに云うのであった。「……生きて、一緒に、佗び住まいをしたら、持った性根、お言葉通り、やっぱり、そのうち、あなた様を、裏切ることでございましょう。……誰が、どうして、自分の心を、シ、知ることが出来ましょう。……死んでしまえば何も彼も……みんなおさらばでございます。……」呼吸がだんだん迫って来る。「これだけはお信じくださいまし……愛しておりました、あなた様を! ……でも、やっぱりお言葉通り、もてあそんでもおりました。