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にんきょうにとうりゅう

任侠二刀流

国枝 史郎

「名古屋新聞」1926(大正15)年5月24日~12月26日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 224,569 字 · 451 页

青空文庫

辻斬りか駆け落ちか?

うと。……そうそういつぞやこんなお多福に、結構な髪飾りを一揃い……」

「ああそうそう忘れていた」いくらか紙へ包んだが、「これで前垂れでももとめるがいい」

「相済みませんでございます」チョロリと帯へ※(「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2-13-28)んだが、「どうぞごゆっくり」と行ってしまった。一人になった幹之介の顔に、憂色のあるのは何故だろう?

辻斬りか駆け落ちか?

恋人八重梅はまだ来ない。幹之介の顔に憂色がある。単に待つ身の辛さだけで、そうまで心配しているのだろうか? いやいやそうではなさそうである。

金に詰まっているのであった。

「廓の金にはつまるが慣い! こんな格言が世にはあるが、案外あたっていない。遊びの金というものは、容易に詰まるものではない。どうぞして女と逢いたいものだ! が、残念金がない。嘘を云って金を借りる。嘘を云うことが上手になる。熱情的に嘘が云える。女と逢いたいの一心で、嘘言の秘術を尽くすからさ。つい友人が引っかかる。親兄弟が引っかかる。赤の他人が引っかかる。みすみす嘘と解っても、その情熱的嘘言には、引っかからざるを得ないからだろうで、容易に行き詰まらない。