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にんきょうにとうりゅう

任侠二刀流

国枝 史郎

「名古屋新聞」1926(大正15)年5月24日~12月26日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 224,569 字 · 451 页

青空文庫

名古屋市中の市街戦

森へはいったら大丈夫! 木蔭に隠れ、藪に隠れ、暁を待つことが出来るだろう!

もう一息だ! 走れ走れ!

森の口まで行きついた時、ムラムラと現われた多勢の人影!

「それ引っ包め! 討って取れ!」

敵の伏勢いたのである。

「山影氏!」と萩原仁右衛門、「いかが致そう! ご思案は!」

「さよう」と云ったが宗三郎、ふと思い付いたことがある。「市街へ出て行き、七ツ寺、蝮酒屋で、落ち合いましょう! 知人がおります、拙者の知人! しかし成るたけ、離れぬように!」

森を廻って町の方へ、四人懸命にひた走る! だが前後よりみ討ち、グルグルグルと包まれた。

「方々!」と山影宗三郎、「背中を合わせて、四巴、四方の敵へお向かいなされ!」

名古屋市中の市街戦

四人背中をもたせ合わせ、四方に向かうを四巴、五人背中をもたせ合わせ、五方に向かえば五ツ巴、これを戦陣に用いれば、上杉謙信が活用した、車がかりの陣備え! グルグル巴に廻りながら、引っ包んだ大敵に向かうのである。

浜路にお絹に仁右衛門に宗三郎、ピッタリ四巴に背中を合わせ、さあ来やがれとヒッ構えた。そこを目掛けて一人の敵、颯と浜路へ切り込んで来た。