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にんきょうにとうりゅう

任侠二刀流

国枝 史郎

「名古屋新聞」1926(大正15)年5月24日~12月26日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 224,569 字 · 451 页

青空文庫

さてその時から幾時間か経った。

上名古屋の大密林、そこに出来ている間道口、その口からヒョッコリ現われたのは、鷺組のお絹と宗三郎であった。

意外の出来事、意外の火事、そのため宗春を助けることも出来ず、同じ間道を伝わって、ここまで逃げて来たのである。

「ああ疲労れた」と呟くと同時に、お絹は草へ坐り込んでしまった。

もちろん宗三郎も疲労れていた。

「いや拙者も、すっかり参った」

同じく草へ坐り込んだが、しばらく二人とも口を利かない。

今度の出来事、宗三郎にとっては、一切合切夢のようであった。……何故宗春が捕えられたのか? どうして浜路があんな所にいたのか? 浜路を引っ込んだ酒テン童子のような人物、いったいどういう人物であろう? 伊集院五郎の姿も見えたが、どういう関係があるのだろう? それから仁右衛門と組紐のお仙が、ヒョッコリ顔を覗かせたが、この理由だって解らない。床が傾いてその隙間から、水路が見え小舟が見え、六文のお吉の姿が見えたが、どうしてあんな所にいたのだろう?

「そうして舟にいた気高いような老人! 一見さながら仙人だったが、どういう身分のお方だろう?」