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にんきょうにとうりゅう

任侠二刀流

国枝 史郎

「名古屋新聞」1926(大正15)年5月24日~12月26日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 224,569 字 · 451 页

青空文庫

……おッ、山影様、おききなされ、雨戸をコジ開けていますよ」

「ああいかにも、コジあけております」今度は宗三郎にも解ったのである。

コトンコトンとコジ開ける音! しばらく続くと急に止んだ。と、スーと戸の開く音! 廊下を辷って来る足音がする。と、二人の牢屋の前へ、ぼんやり黒く人影が立った。牢内をうかがっているらしい。

不意に忍び音で云ったものである。

「浜路、浜路、浜路はおらぬか?」

「や」と驚いたのは宗三郎、その声音に聞き覚えがある。スルスルと牢格子へ近よると、

「萩原殿か? 仁右衛門殿か?」

今度は先方が驚いたらしい。「そういうあなたは山影様? あなたまでが捕らわれて?」

「さよう」と云ったが宗三郎、「が、それにしても仁右衛門殿、どうしてここへは忍び込まれたな?」

「例の地下室でのあの出来事、浜路、隣室へ引き込まれ、行方知れずなりましたので、地下室の火事のしずまるを待ち、ふたたび入り込んだ間道口、さて隣室へ行ってみれば、横穴が通じておりました。辿って来てみればこの建物……」

「おおさようか、よく解りました。……浜路殿には隣りの牢に」

「それは何より、では両方! しかし堅固なこの牢を……」