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にんきょうにとうりゅう
任侠二刀流
国枝 史郎
「名古屋新聞」1926(大正15)年5月24日~12月26日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 224,569 字 · 451 页
と父の仁右衛門、「お前に云って置く事がある、山影様のご用というのは、一口に云えば至極簡単、道人様を探し出し、江戸へお連れすることだ。ところがここに困ったことは、道人様のお住居が知れぬ。そこで何より真っ先に、そのお住居を突き止めなければならない。幸いと云ってはおかしいが、お前はお転婆で馬が好き、よく山中を駈け廻るらしい。で、ひょっとして道人様を、目付け出さないものでもない。よいか、そこだ、目付け出したら、早速知らせて来るようにな」
「ははあ馬が好きかな、それは何より、拙者も大好き、明日にも遠乗りを致しましょう」
「はい有難う存じます。でも妾は馬と云っても、ほんの自己流でございまして」
「いや自己流、それこそ結構、習った馬術で関東の平野を、ダクダク歩かせても仕方ござらぬ。山骨嶮しい御岳山中を、自在に乗り廻した自己流の馬術、それがほんとの馬術でござる」
「ハッハハハ日頃のお転婆も、今日はどうやら風向きがいいの、山影様にご教授を受け、正式の馬術を習うがいい」仁右衛門嬉しそうにニコニコする。
「まあ厭なお父様、お転婆お転婆とおっしゃって」
「いや、お転婆も結構でござる、活気があってなかなかよろしい」